女の子たちの騒がしい声と、こちらに向かってくる複数の足音が聞こえた。
よく見ると、廊下の端から走って来る女の子たちの姿が見える。
- ラピス
- 「え……な、何!?」
- ???
- 「こっち!」
いきなり腕を掴まれて柱の後ろに引きずりこまれた。
- ???
- 「お願いだから、少し静かにしててね」
口をふさがれ、肩を抱かれ、
『その人』の胸元にぎゅっと頬を押し付けられる。
まるで鼓動の音まで聞こえてきそうな距離。
そして確実に耳元で聞こえる呼吸の音。
私は視線を上に向けると、『その人』の正体を探った。
- ラピス
- (あれ、この人……)
さっき教室で光希と話していた人だ。
確か、『四季』と呼ばれていた。
- ラピス
- 「むぐっ……」
- 四季
- 「こら、黙ってて。見つかっちゃう」
- ラピス
- 「…………」
- ラピス
- (な、何がどうなってるの)
状況がよくわからないまま四季に従っていると、再び賑やかな声が聞こえてきた。