- ラピス
- 「ちょっと、いきなり何するのよ! 離しなさい……よ?」
最後に語気を緩めてしまったのには訳がある。
なぜなら、私の目の前に立っていたのは、
とても可愛らしい顔をした女の子だったからだ。
- ラピス
- (何、この子。どうして私をこんなところに?)
混乱する私に向かい、その子が指を突きつける。
- ???
- 「あんた、うちの兄貴のなんなんだよ!?」
- ラピス
- (! え、この声ってまさか……)
- ラピス
- 「……男の子?」
- ???
- 「はあ!? あったりめーだろ、俺のどこが女に見えるんだよ」
- ラピス
- (見た目はどう見ても女の子だけど……)
けれどこの声と口の悪さは男の子のそれにしか聞こえない。